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外来の待ち時間と満足度の関係を全国規模で確かめられる公的な調査に、厚生労働省の受療行動調査があります。令和5年調査は、全国の一般病院を利用する患者さんを対象に、層化無作為抽出した489施設で実施されました(厚生労働省 受療行動調査 調査の概要 P.1〜2)。外来の有効回答数は70,488件です(同 P.2)。
この調査でいう「待ち時間の満足度」は、外来患者票の満足度の項目の1つ「診察までの待ち時間」に対する回答を指します。「非常に満足している」「やや満足している」の合計を「満足」、「非常に不満である」「やや不満である」の合計を「不満」として集計しています(同 P.12 図11 注1)。待ち時間そのものは別の設問で「15分未満」「15分〜30分未満」のように時間帯で尋ねており、満足度とは別々に集計されています。
読むときの前提が1つあります。調査の対象は一般病院の患者さんで、クリニック・診療所は含まれていません。 一方、患者調査によると、令和5年10月の調査日に外来を受療した推計患者数は、病院が1,516.9千人、一般診療所が4,494.3千人です(厚生労働省 患者調査 P.4 表1)。外来の多くはクリニックが担っていますが、本記事で参照した受療行動調査には、クリニック・診療所単体の集計はありません。以下の記事は、一般病院の外来の傾向を示す参考としてご覧ください。
令和5年調査の外来の項目別満足度で、「不満」の割合が最も高いのが「診察までの待ち時間」の25.2%です(受療行動調査 P.12 図11)。同じ外来の項目で比べると、「医師以外の病院スタッフの対応」の不満は4.0%、「病院に対する全体的な満足度」の不満は4.4%で(同 統計表5 P.16)、待ち時間だけが突出しています。「満足」の割合も32.2%と、外来の6項目の中で最も低くなっています(同 P.12 図11)。
さらに病院の種類別に見ると、規模による差があることがわかります。
| 病院の種類 | 待ち時間が「15分未満」 | 待ち時間が「1時間以上」 | 待ち時間に「不満」 |
|---|---|---|---|
| 特定機能病院 | 23.0% | 30.1% | 37.0% |
| 大病院(500床以上) | 22.5% | 27.4% | 33.9% |
| 中病院(100〜499床) | 27.8% | 22.2% | 25.0% |
| 小病院(20〜99床) | 29.7% | 18.5% | 18.9% |
(待ち時間は同 P.4 図2、不満は同 統計表5 P.16。「1時間以上」は図2の「1時間〜1時間30分未満」「1時間30分〜2時間未満」「2時間以上」の合計。病院の種類の区分は 調査の概要 P.2)
待ち時間が1時間以上になる割合が高い種類の病院ほど、待ち時間への不満も高くなっています。ただし、公表されている集計は待ち時間の長さと満足度を個人単位で掛け合わせたものではないため、「何分を超えると不満になるか」まではこの調査から読み取れません。言えるのは、待ち時間が長くなりやすい外来ほど、不満が待ち時間という1項目に集まりやすいということです。
待ち時間と混同されやすいのが診察時間です。受療行動調査は両者を別の設問で尋ねています。外来の診察時間は「5分〜10分未満」が40.9%で最も多く、「5分未満」が28.5%と続きます(受療行動調査 P.4 図3)。
満足度で比べると、2つの差は大きくなります。「診察時間」の不満は7.0%で、「診察までの待ち時間」の25.2%と比べて3分の1以下です(同 統計表5 P.16)。同じ「時間」に関する項目でも、不満が集まっているのは診察時間ではなく、診察までの待ち時間の側です。
医療機関の側から見ると、診察時間は医師の判断で決まる部分が大きく、受付が調整できるものではありません。一方、待ち時間をどう案内するか、どこで待ってもらうかは、受付の運用で変えられる部分です。

受付では、患者さんから待ち時間を尋ねられる場面があります。紙の受付簿やカルテの束を見ながら答える運用では、受付スタッフがそのたびに残りの人数を数え、おおよその分数を計算して伝えることになります。
順番待ちの仕組みを使う場合、待ち時間の目安は次の考え方で示されます。
たとえば、matoca for クリニックでは、待ち組数に1組あたりの分数を掛けた待ち時間を提示できます。受付スタッフがそのつど残りの人数を数えて計算しなくても、目安を示せるようになります。
運用するうえで決めておきたいのは次の3点です。
福岡県糟屋郡篠栗町の三田医院では、2024年10月中旬から小児科でmatocaのトライアルを始め、同年12月から本格導入しました。事務長の前田梓さんは、導入前は戻ってこられない患者さんに電話をかけたり、待ち時間を尋ねられるたびに計算して答えたりと対応に追われていたものの、導入後はスムーズに答えられるようになったと話しています(導入事例:三田医院、2025年3月取材時点)。
同院では、紙カルテを確認しに診察室まで行かなくても、受付のタブレット端末で待ち時間が分かるようになった点も挙げられています。小児科は検査が多く、処置内容によって順番が変わることがありますが、タブレット上の順番を見ながら元に戻せるようになったといいます。前田さんは、待ち時間の管理などの手間が減ったと話しています(同)。
いずれも同院1施設での取材時点の内容で、比較の起点は導入前の紙カルテと電話による運用です。他の医療機関で同じ結果になるとは限りません。
受療行動調査からは、外来の満足度の項目の中で待ち時間に不満が集まっていることが分かります。待ち時間の目安をどう伝えるか、どこで待ってもらうかは、受付の運用として検討できる事項です。順番待ちの仕組みの種類や、導入時に決めておくことは「診察待ちシステムとは」で整理しています。自院の外来で待ち時間の案内をどう設計するか相談したい場合は、お問い合わせから現在の受付体制をお聞かせください。
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