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医療広告で「日本一」「No.1」が使えない理由。比較優良広告の制度と、ホームページで書ける事実の条件

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「医療広告で日本一・No.1が使えない理由」というコラムの見出し画像

ホームページの改修やチラシの作成では、制作会社の原稿に「地域No.1」「県内一」といった言葉が入っていないか確認が必要です。一般の商品広告では見慣れた表現ですが、医療機関の広告では、事実であっても使えません。この記事では、なぜ使えないのか、どこまでなら書けるのかを、厚生労働省の医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)とQ&A、事例解説書に沿って整理します。ガイドライン全体の構成は「医療広告ガイドラインとは」で解説しています。

比較優良広告を禁じる制度と法令

医療法第6条の5第2項と医療法施行規則第1条の9は、虚偽広告とは別に、次の広告を禁止しています(医療広告等ガイドライン P.2)。比較優良広告はその1つ目です。

  • 比較優良広告
  • 誇大広告
  • 公序良俗に反する内容の広告
  • 患者さんの主観や伝聞に基づく、治療等の内容・効果に関する広告
  • 誤認させるおそれのある治療等の前後の写真等の広告

ガイドラインは比較優良広告を、特定または不特定の他の医療機関と自らを比べ、施設の規模、人員配置、提供する医療の内容などについて、自院が他より優良である旨を広告することと定義しています(同 P.8)。

注意したいのは、禁止の理由です。ガイドラインは、事実であっても優秀性について著しい誤認を与えるおそれがあるために禁止される、と書いています。そのうえで「日本一」「№1」「最高」などの最上級の表現は、客観的な事実であっても禁止される表現に当たるとしています(同 P.8)。「本当に件数が一番多いのだから書いてよい」という考え方は通りません。

規制の対象は医療機関に限りません。医療広告の規制は「何人も」に適用され(同 P.4)、サイト運営会社や広告を作った広告代理店にも是正が命じられたり、罰則が科されたりすることがある、とされています(Q&A Q5-2 P.23)。

どこまでが比較優良広告に当たるか

ガイドライン、Q&A、事例解説書に挙がっている例を、表現の型ごとに並べます。

表現の型挙がっている例出典
最上級の表現「最高の医療を広く国民に提供」「県内一の医師数」「日本一の実績」同 P.8、事例解説書 (5) P.10
最上級に近い語「最良の医療」「最上の医療」Q&A Q2-3 P.8
上位を示す表現「日本有数の実績」「県内でも有数の治療実績」同 P.8、事例解説書 (6) P.11
特定の他院との比較他院の名前と料金を並べ「より安く受診できます」と示す事例解説書 (6) P.11
他院をおとしめる表現「他院では未熟な医師が…」と書き、自院が優良であると示す事例解説書 (6) P.11
著名人との関係の強調「著名人も当院で治療を受けております」同 P.8
第三者の評価の転載雑誌の「日本が誇る50病院」の一覧の掲載、ランキングサイトを装った順位付けQ&A Q1-2 P.3、Q2-10 P.9

言葉そのものだけでなく、暗示も対象になります。ガイドラインは、メールアドレスに含まれた「nolhospi」の文字が「No.1Hospital」を連想させ、日本一の病院である旨を暗示しているとして、認められない例に挙げています(同 P.5)。キャッチコピーやドメイン名、画像の中の文字も確認の対象になる、ということです。

なお、「最先端の医療」「最適の医療」は比較優良広告ではなく誇大広告に当たるとされています(Q&A Q2-2 P.8)。分類は違っても、使えない点は同じです。

事実として書けるときの条件

ガイドラインは、比較優良広告をすべての数値や実績の記載を禁じるものとはしていません。最上級の表現と、優秀性について著しい誤認を与える表現を除けば、客観的な事実の記載は妨げられない、としています。そのための条件は次のとおりです(同 P.8)。

条件中身
条件1 合理的な根拠求められたときに、内容の裏付けとなる合理的な根拠を示し、客観的に実証できること
条件2 出典等の併記調査結果などを引用する場合は、出典、調査の実施主体、調査の範囲、実施時期などを併記すること

つまり、「年間○件の手術を行っています」のように自院の事実を示すことは、比較優良広告には当たらない形で書ける余地があります。ただし、比較優良広告に当たらないことと、広告してよい事項であることは別の問題です。その事項が広告可能事項に含まれるか、限定解除の要件を満たしているかも別途確認します。一方で、同じ数字を「県内一」「日本有数」と他院との比較に置き換えた時点で、比較優良広告に当たります。

掲載前の運用上の注意

事務室の机で、スタッフが電話をしながら、印をつけたホームページの下書きを手に持っている場面
印をつけた下書きを手元に置き、判断に迷う表現を相談先へ確かめるイメージ

院内で掲載前に確認するときは、次の点に注意すると見落としを減らせます。

  • 制作会社や代理店の定型文をそのまま使わない: 一般の業種向けに作られた「地域No.1」「選ばれ続けて」といった言い回しが残っていないかを、院の確認者が読みます
  • 数字を書くときは時点と根拠を一緒に残す: 条件1のため、根拠資料を院内で保管しておきます。調査結果を引用する場合は、条件2のとおり出典・調査の実施主体・範囲・実施時期を広告の中に併記します
  • 雑誌やランキングの掲載実績を転載しない: 自院が選ばれた記事でも、他院より優れていることを示す形になれば比較優良広告になります(Q&A Q1-2 P.3)
  • 画像やURLの中の文字も読む: 暗示的な表現も対象になります(同 P.5)

違反が見つかった場合は、行政指導から中止命令・是正命令へと進み、命令に従わなければ罰則の対象になります。命令や告発を行った事例は原則として公表されます(同 P.40-42)。手順の詳細は「医療広告ガイドラインとは」で整理しています。

医療現場での対応

院のホームページで、受付や順番待ちの仕組みを紹介する場面を例に考えます。

当社のmatocaシリーズは、月間利用者数が400万人以上(自社公表値)の順番待ちサービスです。ただ、この数字は当社のサービス全体の利用規模を示すもので、個々の医療機関の優劣を示すものではありません。院のホームページで「多くの人が使う仕組みを入れているから、当院は地域で一番待たない」のように、他院より優れていると読める形につなげる書き方は避けます。サービスの利用規模は、そのサービスを導入した医療機関が優れている根拠にはならないからです。

判断に迷う表現は、掲載前に、所管の自治体や保健所へ確認します。ガイドラインに沿ったホームページの構成から見直したい場合は、医療機関向けホームページ制作もあわせてご覧ください。

まとめ

医療広告で「日本一」「No.1」が使えないのは、事実かどうかにかかわらず、優秀性について著しい誤認を与えるおそれがあるからです。最上級の表現や他院との比較は避け、書くのは根拠と出典を示せる自院の事実にとどめます。掲載前に、制作会社の定型文、数字の根拠、転載した評価、画像やURLの文字の4点を確かめておくと、修正の手戻りを減らせます。

自院のホームページや掲示物の表現について相談したい場合は、お問い合わせから状況をお聞かせください。

出典

  1. 厚生労働省 医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正。P.2・P.4・P.5・P.8・P.40-42)https://www.mhlw.go.jp/content/001683594.pdf/2026年10月28日 取得
  2. 厚生労働省 医療広告等ガイドラインに関するQ&A(Q1-2 P.3・Q2-2/Q2-3 P.8・Q2-10 P.9・Q5-2 P.23)https://www.mhlw.go.jp/content/001683595.pdf/2026年10月28日 取得
  3. 厚生労働省 医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書 第6版(事例(5) P.10・(6) P.11)https://www.mhlw.go.jp/content/001683116.pdf/2026年10月28日 取得

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